第175回(活動20年記念フォーラム)
(話題) 都(みやこ)と京(みやこ)−東京と京都の人と暮らし−
(活動20年記念フォーラム)
江戸東京フォーラムは、江戸東京の内側に立って、様々な問題の考察を続けてきた。活動20年の機に、外側から、専門家ではない、若い立場から、江戸東京はどのように見えるのかを問うてみたいと考えた。そこで、酒井順子氏の登場をお願いした。同氏はその著書「負け犬の遠吠え」で、「30代以上、未婚、子ナシの女性」を負け犬と称して大ブレイクした。その著者が二都比較論「都と京」を著した。その書評を陣内秀信委員が手がけている。フォーラムはその2人の対談として実施した。
(要旨)
酒井氏が著した二都論「都と京」は、現代の文脈で、巧みな造語術を駆使し、問題提起をしている。これを基にして、東京的価値が蔓延している昨今、和の文化にこだわる京都の価値、平等で効率中心の分かりやすい東京、人にも場所にも裏や表が複雑に交差する京都、等々が発表があった。陣内委員は、東京はその魅力を言語化、プレゼンテーションするのに難しさがある。と同時に、脈々と続く歴史の中でアイデンティティが強く根付かないこともある。それこそが東京の特徴ではないか。プライドやアイデンティティの強さでは、ヨーロッパと京都は似ていると指摘があった。
都の規模や首都であった時代や時間、自然立地等、安易に比較はできないが、日本文化が東京化されているなかで、東京の魅力を言語化、表現化する方法論はまだ確立されていない。このことを市民といっしょに展開したい。江戸東京フォーラムの新たな課題となった。