第174回/第2回「東京の地域学を掘り起こす」シリーズフォーラム
(話題)  地域資料としての「近代建築」
(要旨)
文京ふるさと歴史館の企画展「文京・まち再発見2 近代建築 街角の造形デザイン」と連携し、共催した。
フォーラムの前に、企画展で取り上げられている近代建築を各自が見学した。
フォーラムでは、川口明代氏から、文京ふるさと歴史館の紹介があり、同館が近代建築を取り上げるようになった経緯、調査研究、資料収集について報告があった。地域博物館は博物館機能を使って、地域の歴史・記憶を継承することに寄与しなければならない。優れた建築物が次々に消えているが、その保存について、地域住民との協働や情報交換によって、問題意識を共有し、消失に歯止めをかけたいと言及があった。
次に、企画展を担当した北田建二氏(同館専門員)は、収蔵資料を活用することのよって、展示内容が重層的になったことや、展示するために、資料を調査するなかで、その資料が次の資料を呼び、更に次の資料を呼ぶことがあって、新たな発見につながったこと等の報告があった。
質疑応答の時間には、地域博物館の学芸員や専門員は、専門以外の分野についての勉強・研究方法に対する質問があった。また、建築物に関心があって見学する人が多い。一方、その建築物の居住者は日常生活を侵害されることもある。この両者の関係をどのように対処すればよいのか、等の質問もあった。近代建築への関心が高く、その保存や地域資産としての活用する地域住民の動きが胎動している。そのことがうかがえるフォーラムであった。
フォーラムののち、企画展を鑑賞した。