第173回/第1回「東京の地域学を掘り起こす」シリーズフォーラム
(話題)  杉田玄白と小塚原の仕置場
(要旨)
荒川ふるさと文化館の企画展「杉田玄白と小塚原の仕置場」と連携し、共催した。
まず、小塚原の仕置場跡等をフィールドワークしたのち、企画展を鑑賞した。
フォーラムでは、まず、野尻かおる氏が地域博物館の研究者として、荒川ふるさと文化館の概要・組織・機能・各年度の展示題目・展示に至るまでの経緯・地域住民と地域博物館との関わりについて報告があった。
次に、亀川泰照氏から、企画展「杉田玄白と小塚原の仕置場」について、展示は、(1)仕置場の成立・環境・機能、(2)小塚原での観臓と江戸の解剖、(3)地域での仕置場跡の文化財化、の3部構成になっていると発表があった。また、展示の目的は、(1)区民が地域の歴史と向き合い、地域の文化的資源・財産を再発見するきっかけとなること、(2)史跡・文化財を活用し、地域に還元すること、(3)近年の発掘調査の成果を展示に反映し、区民に還元すること、(4)杉田玄白の故郷である福井県との文化交流を深めること、(5)教育委員会人権学習講座と連携し、有機的に展開を計り、人権学習に寄与すること、と強調された。
更に、土居浩氏は、京都における江戸時代の罪人引き回し経路の研究をもとに、仕置場跡にある「題目塔」の共通性等のコメントと、子どもに対する地域博物館の働きかけについての問題提起があった。
過去の歴史を地域住民とともに、現代にどのように立ち上げるか、まさに、東京の地域学を掘り起こすにふさわしいフォーラムとなった。