第163回
(話題)  江戸東京に於けるスラムの発生と変容
(要旨)
講演では、江戸時代には身分が区別されていたが、『御掃除役』の町人や『御掃除之者』と言われる御家人が存在したこと。彼等の居住地(大縄地)は江戸の町ウチの各地にあったこと。更に、東京への流れのなかで身分制度が廃止になり、新たにスラムが発生し、変容した過程が発表された。これに対して、歴史学の立場から、都市下層民の集住地における住民の不連続性と町の連続性等についてコメントがあった。討論では、東京の三大貧民窟は江戸の拝領屋敷の流れにあること、産業革命後のスラムは別の構造をもつこと、スラムの広域化、アジア諸国との相違などが論じられた。