第162回
(話題) 音楽の世界における<邦楽と洋楽>
(要旨)
講演は、「西洋音楽は現代世界の覇者である。邦楽は土着の自然の観照に根ざしている音楽である。我が国は、明治以来、西洋音楽にまたたく間に席巻された。邦楽と洋楽を比較すると、和声において、邦楽が自然の立体性や調和を表現するのに適しているのに対して、洋楽は人間の能動的感情表現に適している。対位法では、邦楽は論理体系を持たない、洋楽は禁則を伴う論理体系を完成させている。グローバリゼーション、モノカルチャー化が急速に進む現代において、鋭い感性に支えられた邦楽は貴重である」と話された。邦楽と洋楽の違いを、ピアノと三味線の弾き語りで明瞭に示された。そして、邦楽を世界に通用するものとしたいと結ばれた。民謡、長唄、クラシック等、全11曲の音色が、新緑を背景にした庭園美術館大ホールに響きわたり、参加者たちの拍手は休日の昼下がりに鳴りやまなかった。