第146回
(話題) 江戸の見世物
(要旨)
現在、見世物というと、いかがわしい、あやしい、おどおどしいというイメージがあるが、近世後期、江戸の見世物は一体どんなものであったかという話題である。
見世物小屋は両国橋と浅草奥山にあった。興業内容は、一目見ると病気にならないという駱駝や象の動物見世物、細工見世物、軽業、生人形などで、大衆娯楽の代表的なものであった。入場料は歌舞伎より安いものの、小屋の大きさ、興業期間、上がり、入りなど、歌舞伎と遜色がなく、大規模なものであった。また、浮世絵や引札などのメディアと連動し、同時代文化への波及効果をもっていた。
見世物はやがて、近現代に向かって、サーカス、動物園、テーマパーク、映画、テレビの娯楽番組へと展開していったのである。
大衆文化におけるひとつの醸成過程が展開された。