第140回
(話題) 長崎出島の復原と「海を渡った大工道具展」
(要旨)
2000年は、リーフデ号が豊後に漂着して以来400年目である。これを機会に、日蘭貿易の拠点であった長崎出島の一部が復原され、4月1日に公開されている。フォーラムではこれをタイムリーに取り上げた。
長崎出島の復原は、建築史ばかりでなく、美術史・歴史学・民俗学など多方面の研究者が協力して行われた。とくに、オランダ・ライデン国立民族学博物館マティ・フォラー博士の努力によって、当時の商館長が持ち帰った出島模型の解説書、死亡した商館員が残した持ち物のリストなど、多様な史料が発見され、出島研究は新たな一歩を踏み出した。
復原にあたっては、「絵画は真実を伝えているか」、「出島の建物は洋風か和風か」など、様々な視点から議論がされた。多様な史料をふまえての復原過程を、フォーラムでは「生の姿」で発表された。
また、当時の日本の大工道具と川原慶賀筆の道具図がライデン博に遺っていることが分かり、その里帰り巡回展を、長崎出島・神戸竹中大工道具館・横浜技能文化会館・佐倉国立歴史民俗博物館で開催することや、優れた大工道具は、日々使われ摩耗するため、国内には古い道具はほとんど遺っておらず、貴重な展示となるとも述べられた。