第119回
(話題) 建築家、佐藤功一と都市への視線
(要旨)
佐藤功一は、明治11年(1878)栃木県下都賀郡に生まれ、昭和16年(1941)東京市小石川の自邸に没した建築家である。
生涯に233の作品を設計している。その一方で、いち早く「都市美観」の問題に注目し、多くの発言を残している。東京という近代都市への認識の系図を問うとき、きわめて興味深い存在である。
佐藤の都市への視線は、同時期の建築家たちによる都市認識の特質を象徴的に示すと同時に、彼ならではの独自の都市観を内包している。佐藤壮年期の代表作であり、東京における彼の数少ない現存遺構の1つである東京市政調査会館及東京市公会堂(日比谷公会堂)への論及を中心として、佐藤功一の都市への視線の特質が明示された。
なお、佐藤は考現学の創始者である今和次郎の師にあたる。佐藤と今の間にどのような連続性を見いだせるかという問題も合わせて考察された。