第116回
(話題) 江戸・東京の湯屋
(要旨)
日本人は、世界に類のない「湯」好きだといわれている。しかし、こうした生活文化に関わる事柄は、えてして時間的な経過を無視して語られることが多い。また、イメージや願望が実態と混同されていることも少なくない。
わが国は世界に類のない温泉国であるから、古くから湯浴の気持ちよさをたくさんの人が知っていたことは事実である。しかし、生活のなかに温泉が日常的に入りこんでいたわけではない。
湯と風呂も、いまではその理解が完全に混同されている。湯は湯浴に発し、風呂は蒸風呂の蒸気浴に発している。また、関東と関西では歴史的な経過も異なっている。
発表では江戸・東京に問題を絞り、入浴の実態とその歴史的経過を探られるとともに、生活文化装置としての湯屋の社会的な位置づけと役割、その歴史的な変遷について、最近の調査結果が述べられた。