蔵書探訪・蔵書自慢 11
住総研図書室−すまいの専門図書室2

住総研図書室だより」『蔵書探訪・蔵書自慢』シリーズの第1回目(2004年春号)で、住総研図書室の概要について紹介しましたが、今回は、住総研図書室その2ということで、前回取り上げることができなかった資料について紹介いたします。

財団出版物
1. 「一般財団法人住総研研究論文集」(旧「研究年報」)
当財団は1973年より研究助成を行っており、1974年に第1号を刊行してから、2006年刊行の32号までに計751編が掲載されています。32号には藤田勝也『裏松固禅の住宅史研究資料に関する学際研究』、大場修『稲葉家住宅における普請過程の実録とその特質』、亀屋惠三子『ALS患者における療養の場としてのすまいに関する研究』、饗庭伸『建築ストックの地震リスク情報化とその地域共有化手法』、の助成研究論文選奨を含む34編の研究助成論文および2005年開催の住総研シンポジウムの委託論文三編を掲載。
2. 印刷助成による研究論文(239編)
研究助成の成果を含め優れた住関係分野の研究で公刊に恵まれない研究成果を公募、毎年数件ほど印刷・刊行の助成を行っております。2006年7月末現在の最新号は、高井宏之『大規模集合住宅における共用空間・施設の経年変化に関する研究』です。
3. 出版助成(46冊)
1986年より優れた住関係分野の研究で公刊に恵まれない研究論文の出版経費の一部を助成しています。2005年度は、佐藤彰男『テレワークの社会学的研究』(御茶の水書房)、碇きく江『後悔しないためのリフォーム』(文芸館)、泉田英雄『海域アジアの華人街(チャイナタウン)』(学芸出版社)、防犯環境デザイン研究会訳『犯罪予防とまちづくり』(丸善)、巽和夫『スケルトン・インフィル』(学芸出版社・予定)、河野裕『De Facto Slovenia』(鹿島出版会・予定)です。
4. すまいろん
1984年より当財団機関誌「すまいろん」(季刊)を発行しております。ミニシンポジウムを原則年四回開催し毎号の特集記事として掲載しています。2006年秋号で80号になりました。
(5)その他
当財団小規模マンション委員会が行った調査結果を『小規模マンション管理の課題と解決策に関する調査報告書』として2005年に刊行しました。他にも『かわる住宅・まちづくり』、『在来構法の研究』、『もつれた建築をほどく』、『墨壺の履歴書』等を出版しています。

住教育関連資料
当財団住教育フォーラムを纏めた『まちはこどものワンダーらんど』(風土社)をはじめ、「住・まちづくりフォーラムかわら版」(1〜18)や「『住まい・まち学習』実践報告・論文集」(1〜6)等の当財団公益活動の成果物、研究書や専門書、住教育の教材としての住まいの絵本や自治体等が発行した副読本も所蔵しています。住まいの絵本の代表作『ちいさいおうち』(岩波書店:英語版も所蔵)や『家のくらしのうつりかわり』(岩崎書店)や英語、フランス語、ドイツ語の住まいの絵本等を所蔵しております。一例を挙げると、『Our village shop』(Heinemann)は、建物を組み立てる工作絵本です。『Haunted house』は、ページをめくるとお化けが飛び出す仕掛け絵本です。

高齢者・障害者の住居関連資料
当財団の出版物『ハウスアダプテーション』、『日本のハウスアダプテーション』やフォーラムの記録である「ハウスアダプテーション通信」(1〜9)の他、『在宅介護を考える』(中央法規出版)、『住まいのバリアフリー:ハウスアダプテーション』(建築技術)をはじめとした研究報告書、雑誌では「いい住まい いいシニアライフ」、「ユニバーサルデザイン」等を受け入れています。「地域高齢者住宅」に関する資料は、約50点所蔵しており、港区、豊島区、日野市、奈良市、神戸市、名古屋市、日立市、北九州市等の地域高齢者住宅計画報告書も所蔵しております。

データ・統計類
新設住宅着工戸数や床面積等に関するデータは、月刊「ハウジングデータ」(住宅金融普及協会)に掲載されています。「CRI」(長谷工総合研究所・月刊)では、首都圏および近畿圏のマンションの新規供給戸数や分譲単価等が分ります。『住まいと暮らしのデータブック』(生活情報センター)は、住まいに関する意識、住宅リフォームに関する意識など住まい手に関するデータが得られます。他にも『住宅経済データ集』(住宅産業新聞社)、『東京の土地』(東京都都市整備局都市づくり政策部広域調整課)、『全国賃料統計』(日本不動産研究所)、『市街地価格指数』(日本不動産研究所)等も所蔵しております。

公団・公社等の歴史および社史
『日本住宅公団史』、『住宅金融公庫五〇年史』、『住宅・都市整備公団史』等を所蔵しています。その他、『横浜市住宅供給公社三〇周年誌』(横浜市住宅供給公社)、『創立四〇周年記念誌』(埼玉県住宅供給公社)、等もあります。社史には、『大和ハウス工業二十年史』(大和ハウス工業)、『殖産住宅二十年史』(殖産住宅相互)等、ハウスメーカーの社史の他、大都市郊外住宅地が私鉄の開発と深く関わっていたことから『東京急行電鉄五〇年史』(東京急行電鉄)、『小田急二十五年史』(小田急電鉄)、『京王帝都電鉄(現:京王電鉄)三十年史』(京王帝都電鉄)等の私鉄の社史も所蔵しております。

HOPE住宅関連資料
旧建設省が1983年に定めたHOPE計画に関する資料を一か所に集めております。一例として、『成田市地域住宅計画』、『千葉市地域住宅計画』、『更埴市地域住宅計画』、『久留米市地域住宅計画』、『北九州市地域住宅計画』等、約40点を所蔵しております。

建設関連企業発行の研究報告など
「清水建設研究報告」、「大林組技術研究年報」、「竹中技術研究報告」、「大成建設技術センター報」、「三井住友建設技術研究所報告」、「技術年報」(五洋建設)や「りぶ」(藤和不動産)、「CEL」(大阪ガスエネルギー・文化研究所)、「TOTO通信」や「INAX REPORT」等の企業PR誌も所蔵しております。また、PR誌に同封されている「TOTO新製品news」等のパンフレットもファイリングして受け入れております。

江戸東京関連資料
当財団では、1986年から江戸東京フォーラムを開催しており、図書室でも江戸東京関連の資料を収集しております。主な資料を紹介すると、当財団江戸東京フォーラム委員会委員長の小木新造氏著作の『江戸東京学』(都市出版)、『「江戸東京時代」の生活と政治』(一般財団法人住総研)、『江戸東京学への招待』(日本放送協会:全3冊)、『江戸庶民生活史研究』(日本放送協会)や、2003年に開催した江戸東京拡大フォーラムの記録『江戸のモノづくり』を初めとする拡大フォーラムの記録冊子等を所蔵しております。さらに『江戸町触集成』(塙書房:全20巻)等の全集や『江戸東京学事典 新装版』(三省堂:旧版も所蔵)等の江戸東京関連の事典類もあります。

古書
当財団図書情報委員の推薦により、現在300冊以上を所蔵しております。明治〜昭和初期の住宅設計図集や住宅写真集、住宅論の他、『住宅の建て方』(主婦之友社)、『住宅の知識:續主婦之友花嫁講座』(主婦之友社)のような主婦を対象にした住宅に関する書籍もあります。その他、『デペンデントハウス』(技術資料刊行會)、伊東忠太の『西遊六萬哩』(北光書房)、『工場寄宿舎』(東洋書館)等も所蔵しています。

当図書室では、住宅分野の専門図書室として、非売品の資料や個人で購入するのが困難な資料および将来的にその時代を反映する資料を受け入れていきます。2002年11月からは(社)日本建築学会図書館等も参加している「建築・都市・住宅・建設産業分野専門図書館横断検索システム」に当図書室も加わっております。レファレンスも行っておりますのでご利用ください。来室の他、電話(03-3275-3078)、FAX(03-3275-3079)、メール(kazama*jusoken.or.jp)で受け付けております。

・お問合せ時には、上記のメールアドレス中の「*」を@に変えてください。

風間 智子(かざま・ともこ)
(「すまいろん」06年秋号転載)